うちの母は、ケセラセラ♪

旦那の声色


家に帰って来てからの事、
母の部屋に付きっきりだった私に、
週末になると旦那が変わって、母の部屋で寝起きしました。


数日後の事、母が言いました。


母 「旦那はね、2人役するんだよ。」


私 「え?・・・なんのこと?」


母 「夜中にね。○○○ちゃーん(私の名前)って呼ぶとね。
   旦那が、はーい!って答えるの。
   声色使うの・・・
   面白いでしょ。」



従姉妹 「え? じゃあ旦那は、○○○ちゃん(私)の声色使うの?」



母 「そう。」



私 「そうなの? 私の声色使って返事するの?」



母 「そう。」


 
私 「それじゃあ、お母さんは、全部お見通しだったって
   事なんだね?」



母 「そう、お見通し。」



それで母は、私を寝かせる為に旦那が変わっている事を知り、
そのまま気づかない振りをしていたのです。



私と、側にいた従姉妹達、みんな大爆笑でした。




あれだけ体の痛みがあって、痛み止めで少し朦朧としながらも
母は、すべてを理解していました。



そして、自らの事より、私達の心配ばかりをしていました。



あとになって、旦那に聞いたら、お母さんは、別に用事を
頼みたくて私の名前を呼んだのではなかったようだと、
なぜなら、そのあと何も言ってなかったから。


誰かいるのか、呼んでみたんじゃないかな、と言いました。


そして、
旦那 「いや、もしかすると何か用事があったのかもしれない。
    声色聞いて、お母さん気持ち悪くなって、
    やめちゃったのかな。」




旦那はよく言います。
「お母さんでよかった。」


遺影は、旦那が選んだ写真です。


旦那は、母の笑ったたくさんの写真を見つけて、
スライドショーを作りました。


私達にとってかけがえのない人を失ってしまった
その傷はいつになったら癒えるのでしょうか。



どこに行っても目立っていた母。
担当だった医師に先日会った時、
母を思い出すように遠くを見つめ、言いました。
「存在感の大きな方だった・・・」
「反対に私のほうが、元気づけられる事がありました。」と。
そして
「力不足でした・・・」と言いました。



母と一緒にいると、どこに行っても得をする事ばかりでした。
すぐに人気ものになって、私達まで恩恵をさずかる事が
多かったのです。


旦那は言いました。
「お母さんは、すごく素直な人なんだよね。
 ひがんだり、人をねたんだり
 する事がないんだよね。 
  
 お母さんでよかった。」



母のようになりたい・・・。
今、切にそう思います。




ベッドで寝ている母の耳元で、何回も呼びました。
「お母さん、お母さん」と、
母は、「はいよ。」とか「なんだい。」と目を閉じたまま
返事をしました。


お母さんの娘でほんとうによかった。ありがとう。
と・・何で、この言葉を耳元で言ってあげなかったんだろう。


でも、また復活するって信じていたから・・。



生まれ変わっても、またお母さんの娘になりたい。
今度は、絶対に親孝行をします。




ところで、旦那は、最近変な事を言い出しました。
生まれ変わったら、お母さんと結婚しようかな・・なんて。


果たして、お母さんが何と言うか・・・



母の声  「ああ・・・無理だろうねぇー。
      お気の毒さま。」


母に変わって私が言いました。
そんな声が聞こえて来たから。






母へと頂いた紫陽花2種。
素敵です。
今の時期、お花がもたないのが悩みの種ですが、
母の廻りは、頂いたお花が絶えず満開です。



我が家の庭の貧相なガク紫陽花は切って花瓶に入れたら
瞬く間に萎れました。
この紫陽花を持って来て下さった方に聞いたら、
紫陽花は水揚げがすごく悪く、切り口にミョウバン
擦りこむと良いのだそうです。





にほんブログ村 ハンドメイドブログ レースへ いつもありがとうございます。                  コメント頂けると嬉しいです。