母の海苔弁
海苔弁と言うと海苔が御飯の上にドンと乗っていて、
箸で御飯を取るときに、一気に海苔もくっついて来て
しまう。
母は考えました。
母の海苔弁。
前にも書きましたが、
私が小さい時は、好き嫌いが多くて
食べられる物がほとんどありませんでした。
幼稚園では、お弁当を食べた子から
外に遊びに出られます。
お弁当が食べられなくて、
いつも最後まで残されていた私です。
幼稚園児の私はお弁当ノイローゼになりました。
夜中に、寝言でも、
「お弁当ちっとにしてね。」と私が言っているのを聞いて
母は先生に相談に行ったそうです。
先生は、御飯はお弁当箱に一並べでいいから、
食べられる好きなものだけ入れてあげて下さい、
とおっしゃったそうです。
そして私の定番のお弁当がこれになりました。
海苔と紅ショウガのお弁当。
海苔を、1.0cm〜1.5cm角ぐらいに切ります。
そして丁寧に、一枚一枚、少しずつお醤油を付け、
御飯の上に乗せて行きます。
すぐに海苔が、しんなりするので、
お箸で御飯に差し込んで行きます。
これを繰り返します。
これなら、海苔が切れずに一度で口に入ってしまうと
言う事はありません。
子供の頃、母が細かく切った海苔を一枚一枚
御飯に乗せて、箸で差し込んでいるのを、
じっと見ていました。
そして最後に紅ショウガをパラパラと
乗せて出来上がりです。
肉も魚も食べられず、魚屋さんの前は息を止めて、
遠回りして通っていた、
青白い顔をして、病気ばかりしていた子供でした。
そんな昔が嘘のように、いまでは食べる事が大好きで、
たくましい体になりましたが、海苔と紅ショウガの
お弁当は、今でも私の中では最強です。
突然食べたくなって作ってみましたが、
むかしと違って、今ではこれだけだとちょっと物足りない、
別のタッパーに、お新香と煮豆と煮物を付けて
今日の私のお弁当です。
あ、それから、ヨーグルトとグレープフルーツ、
それにおやつも持って♪
母がよく言いました。
「まるで遠足だね。」
いまでは旦那がよく言います。
